「はじめてのうりんこ」おやこ観劇デビューレポ
(ちょろりんのすてきなセーター編)
「はじめてのうりんこ」おやこ観劇デビューレポ
(ちょろりんのすてきなセーター編)
毎日youtubeに夢中になっている我が子。そんな姿を見て「アニメや動画も面白いけど、できれば本物の演劇を見せてあげたい!」なんて考えることはありませんか?
私自身、気がつくとつい動画やテレビに子守を頼ってしまいがちな日々を送っています。娘たちに申し訳ないなと思いつつも、大人向けのミュージカルやお芝居に子連れで行くのはハードルが高いし…。
そんな悩める私を救ってくれたのが、こどもファーストなお芝居を40年以上も提供し続けている「劇団うりんこ」。
「うりんこなら子連れでも全然心配ないよ、気になるなら行ってみたら?」
そんな友人の言葉に背中を押され、先日我が家も念願の子連れ観劇デビューしてきました。結論からお伝えすると、「劇団うりんこでの子連れ観劇デビューは最高!」
みなさんも、子連れでの観劇は無理と諦める前に、ぜひこのレポートに目を通してみてください。読み終わる頃にはきっと、「劇団うりんこ」なら赤ちゃんから大人まで安心してお芝居を楽しめるとお分かり頂けると思います。
劇団うりんことうりんこ劇場のご紹介
「ちょろりんのすてきなセーター」観劇レポートの前に、まずは劇団うりんことうりんこ劇場がどれだけ「こどもファースト」なのかをご紹介いたします。
劇団うりんこって?
劇団うりんこは名古屋に拠点を持つ児童劇の専門劇団です。創立は1973年で、なんと40年以上もの歴史があるんですよ。
”「うりんこ」とは、いのししの子どものこと。
いのししの子どもの背中には「まくわうり」みたいな、しま模様が入っています。「うり」の子どもみたいだから「うりっこ」とか「うり坊」とも呼ばれています。素敵な舞台を届けに、いのししみたいに真っ直ぐ走っていこうと劇団の名前にしました。”
〉劇団うりんこ公式HPより
とても可愛らしい劇団名には、こんな由来があったんですね。
本拠地は名古屋ですが、北海道から沖縄まで全国で公演を行なっています。東海3県を中心に、小学校、中学校、高校の教育現場でも公演が行われ、子どもたちが「自分のこと」として共感できるお芝居を届けてくれる劇団です。
うりんこ劇場ってどんなところ?
そんな劇団うりんこの本拠地は、名古屋にある「うりんこ劇場」。
入館前には検温と消毒が実施されており、安心して利用することができます。
公演は主に1階のホールで行われます。ホールは広すぎず舞台との距離が近く、小さな子でもまさにお芝居の世界を「自分のこと」として共感できるような作りになっています。
2階と3階はそれぞれ事務所とリハーサル室ですが、幼児向けのイベント時は3階がプレイルームになったりワークショップが開催されたりと、各フロアは臨機応変に活用されています。
ちなみに、うりんこ劇場は令和2年度文化庁劇場・音楽堂等機能強化推進事業(地域の中核劇場・音楽堂等活性化事業)として採択されたそうです。これは一見の価値あり!
公共の交通機関での来場が推奨されていますが、駐車場も用意されています。うりんこ劇場に向かって右側に少し進んだところに、広い砂利敷きの駐車場があります。
3歳0歳と観劇デビュー、感想は「最高!」
それではいよいよ、私が3歳と0歳の娘たちと一緒に子連れ観劇デビューした実際の感想をお伝えします。演目は『ちょろりんのすてきなセーター』。トカゲの子が憧れのセーターを手に入れるというストーリーで、寒い季節にぴったりのかわいらしいお話でした。
観劇前にオリジナルランプ作りのワークショップに参加しました
当日は公演前に、物語に登場するキーアイテムであるランプ作りのワークショップも行われていました。実際にお芝居で使用される小道具のランプと同じ材料を使って作ることができ、3歳の娘も大喜び。
このランプは、スプレーボトルの下部分とプラスチック製のお皿が重なって出来ているんです。落としても割れないし、ナイスアイデアですよね!
好きな色のパーツを選び、シールを貼ったりマーカーで絵を描いたり…世界で一つだけのランプを作ることができました。
実際の作業はとても簡単だったので、親が手伝う必要もなく無事に完成。
それが娘の自信につながったようで、完成品を見せてくれたときはとても誇らしげでした。
娘より少し大きな小学生の参加者たちは、それぞれデザインを工夫してとても綺麗なランプを作っていましたよ。幅広い年齢層が楽しめるワークショップの開催は、子連れにはありがたいですよね。
ランプの完成後は、講師の方に「太陽の光に当てると本当のランプのように光るよ」と教えていただきました。その後はしばらくプレイルームで遊ばせていただき、ホールの開場時間に合わせて移動しました。
「ちょろりんのすてきなセーター」感想
ワークショップの後、ランプを持っていよいよホールへ。
座席は階段状になっており、早いもの順で好きな場所に座るスタイル。とはいえホール自体がコンパクトなので、どこに座っても舞台はしっかり見えるようになっていました。
娘は事前に「ちょろりんのすてきなセーター」の原作絵本を読んでいたため、「どこにちょろりんがいるの?」「ちょろりんは寒がりなんだよね」等、開始まで止まらないおしゃべり。お芝居のスタート直前まで役者さんが座席近くにいてくださり、直接お話もできました。
娘はワークショップで作ったランプを「綺麗だね!」と褒められたことが相当嬉しかったらしく、ランプを大切そうに抱えながらニコニコご機嫌でした。
そして開演時間ぴったりに、待ちに待ったお芝居のスタートです。てっきりいきなり物語が始まると思っていたのですが、まずは「音」と「動き」だけで役者さんが「いろいろなもの」を表現するお芝居からスタート。
これはぜひ実際に見ていただきたいのですが、「蝶々」「雨」「葉っぱ」など、様々なものが動きと音だけで表現されていきます。
春夏秋冬、変わりゆく空模様…
言葉での説明はないのに、観客は皆自然と同じものをイメージできる。プロの役者さんの圧倒的な表現力を目の当たりにして、本編開始前から感動する私。娘も初めての経験に目が釘付けになっていました。
しばらくするとトカゲの小さな人形が出てきて(これだけは小さく客席から見えにくいからか「トカゲ」と名詞をおっしゃってました)、それを役者さんが捕まえたところで「ちょろりんのすてきなセーター」本編がスタート。
お芝居の流れは、絵本のストーリーをしっかり踏襲しつつも登場人物の心情や背景がより深掘りされていて、物語に深みが増していました。
舞台の上に立つ役者さんはお二人。そのうちお一人が何役も演じてらしたのですが、そのクオリティにも脱帽!本当にさっきと同じ人?レベルで別人になるんです。華麗なまでに老若男女を演じ分ける姿は必見です。
劇中は途中でコミカルな演出もあり、こどもたちと一緒にクスクス笑ってしまう場面もありました。
3歳の娘が45分もの間集中できるか不安もあったのですが、そんな親の心配をよそに娘は最初から最後までしっかり楽しんでいました。瞳を輝かせながら、舞台に心奪われている横顔。
家で動画を見ている時には決して見せない真剣な表情を見て「連れてきてよかった」と心から思いました。
そして嬉しい誤算だったのが、抱っこ紐の中で0歳の次女も舞台をじーっと見つめていたこと!赤ちゃんでも楽しいことはきちんとわかるんですね。
親子揃って夢中になっている間に、物語はあっという間に進んでいきます。
ちょろりんと一緒に、笑い、怒り、泣き、成長し…
ぎゅっと濃厚な45分間を経験し、娘も私も一回り成長した気がしました。
最後はこどもたちもみんな揃って自然に拍手。娘たちにとって初めての観劇デビューは、子どもだけでなく大人も十分素敵な経験ができました。
うりんこでの子連れ観劇が「最高」な3つのポイント
そんな風に、我が家の子連れ観劇デビューはとても素晴らしい経験になりました。
具体的に劇団うりんこでの子連れ観劇が「最高」だった理由を3つご紹介します。
① 施設そのものが「子連れファースト」
乳幼児の参加が前提なので、痒いところに手が届く工夫がたくさん。
ボールプールやジャングルジム、絵本やおもちゃがたくさん用意してあるプレイルームなど、待ち時間にもこどもが楽しめる要素がたくさん!
授乳室も広々。荷物を横のテーブルに置けて助かりました。
オムツ替えベッドの前には、なんと専用のゴミ箱まで!ありがたいですね。
プレイルームにはベビーベッドも用意されていたので、ねんね期の赤ちゃんがいても安心です。
ちなみに施設内は土足厳禁なので、我が家のハイハイ娘も安心して楽しめました。
お手洗いには子供用補助便座も設置されており、トイレトレーニングが終わったばかりの長女にはとてもありがたかったです。(大人用トイレだと大きくて怖がってしまうので)
公演会場のホールは、座席はゆったり。階段状になっているものの傾斜は緩やかなので安心でした。上演中の照明は暗くなりすぎないので、赤ちゃんも怖がることなく過ごしていましたよ。
そして劇場後方にはいつでも出入り可能な出入り口も用意されており、万が一子どもがぐずった時にも退出しやすい工夫がされていてとても安心感がありました。
一点だけ注意事項をお伝えすると、新型コロナウイルス対策のためしっかり窓を開けて換気をされているので、冬場は暖かい服装で行くと安心です。
② 子連れが多いので騒がしくてもお互いさま
子ども向けのお芝居なので、当然ながら観客はファミリー層ばかり。そのため開演直前までホールが騒がしかったり、赤ちゃんがぐずったりしてもお互いさま。
抱っこ紐の中でむずがる次女を見て、隣に座っていた5歳くらいの子が「かわいいね」と言ってくれたのが印象的でした。
もちろん上演中に大きな声でおしゃべりするのは避けたいところですが、小さい子って、どうしても気になることは口に出しちゃいますよね。長女は舞台にランプが出てきたタイミングで「これ同じだね!」と小声で言いながらワークショップで作ったランプをごそごそ取り出してしまったのですが、その程度なら気にならない雰囲気でした。
先ほどお伝えした通り、ホール後方には気兼ねなく出入りできる出入り口も用意してあるので、お子さんを外であやしたい時も安心です。
③ こどもの興味を惹く演出
くるくると変わる役者さんの表情、色々な場所から出てくる小道具、伸びやかな歌声、早着替えで次々と変わる衣装。こどもたちの興味をひく仕掛けが次から次へと飛び出し、まるでおもちゃ箱の中をのぞいているようでした。
長めのyoutube動画はすぐに飽きてしまい「違うのにして」と言うような娘なのですが、そんな彼女が集中して舞台を見つめる姿に感動してしまいました。
ワークショップで作ったランプが実際の舞台で使われていたことも、娘のハートをがっちり掴んでくれたようです。自分も物語の一部になったと感じたのか、家に帰ってからもランプはとても大切な宝物になりました。
ひとつだけ困ったことが…
そんな素晴らしい観劇デビューだったのですが、唯一困ったこと。それは…
「娘が帰りたがらない」ことでした(笑)。
お芝居が終わった後は当然のように「じゃあ、さっき遊んだところ(プレイルームのこと)に行こっか」と階段を登ろうとしているではありませんか!
「今日はもうおしまいなんだよ、また来ようね」そんな私の必死の説得もなんのその、娘は「やだ!もっと遊ぶ!」と頑固な姿勢を崩しません。
「お昼ご飯食べに行こう、また絶対連れてきてあげるからね」と食べ物で釣ってなんとか納得してくれたものの、帰り道では「じゃあ、明日も来よっか?」とニコニコ笑顔。
明日は難しいけど、また絶対連れてくるからね!と誓う母でした。
(我が家と同じようにお子さんがうりんこにハマってしまった親御さん! 〉うりんこサポーターズ制度がものすごくお得なのでおすすめです。)
幼児期に観劇デビューしないのは損!うりんこのお芝居で感性を磨こう
体験したことをスポンジのように吸収する幼児期だからこそ、生の演劇を見せる価値は大いにあります。「うちの子は静かにしてられないから…」そんな理由で観劇を諦めてしまうのはとても勿体無いですよ。
娘との約束を守るべく、私も 〉今後の公演予定 をこまめにチェックしています。
次の休日はぜひ、家族みんなで「子連れ観劇デビュー」してみませんか?